「モラハラ」という言葉は、近年、私たちの生活の中で頻繁に耳にするようになりました。特に家庭内でのモラハラは、被害者の心に深い傷を残すことが多いと言われています。しかし、モラハラを行う妻が実際にどのような背景や精神的な状態にあるのか、その原因となる精神病や精神疾患は何なのか、多くの人々が疑問に思っていることでしょう。この記事では、モラハラ妻が持つ可能性のある精神病や精神疾患について詳しく探っていきます。
モラハラ(モラルハラスメント)とは
モラルハラスメントとは、家庭と言う閉じた人間関係、物理的にも精神的にも密室に近い中で、長期間無視をされたり、暴言や暴力を振るわれたり、理不尽なルールを押し付けられたり、逃げ場がなく追い詰められて心や体が病んでしまうような行為や態度のことです。
モラハラ妻はどんな精神病の可能性がある?
自己愛性パーソナリティ障害とモラハラ
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)は、誇大性や賞賛されたいという過剰な欲求、共感性の欠如などの特徴を持つ障害です。この障害の患者は、自分に過剰な自信を持ち、他者からの悪評価に敏感に反応します。配偶者がこの障害を持っている場合、モラハラの原因となることが多いです。
モラハラ妻を精神病と診断してもらうには?
自己愛性パーソナリティ障害の判断基準
モラハラを行う配偶者が自己愛性パーソナリティ障害かどうかは、DSM–5という判断基準を用いて確認することができます。この基準により、特定の項目のうち5つ以上該当する場合、自己愛性パーソナリティ障害と判断されます。
自己愛性パーソナリティ障害(NPD: Narcissistic Personality Disorder)は、DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)によって定義されています。DSM-5は、精神障害の診断基準として広く用いられる手引きです。
自己愛性パーソナリティ障害の主な特徴は、他者に対する共感の欠如と、自己に対する過度な自愛にあります。以下は、DSM-5における自己愛性パーソナリティ障害の診断基準の概要です。
- 誇大的な自己評価:自分の能力や重要性を過大評価する。
- 特別であるとの信念:自分は特別であり、同じ特別さを持つ人々や状況にのみ関わるべきだと信じる。
- 過度な賞賛の要求:過度な賞賛や注目を求める。
- 特権的な待遇を期待する:他者よりも特別な待遇を受けるべきだと期待する。
- 他者の利用:自分の目的を達成するために他者を利用する。
- 共感の欠如:他者の感情やニーズに対する理解や共感が欠如している。
- 他者に対する嫉妬:他者が自分よりも優れていると感じるか、または他者が自分を嫉妬していると信じる。
- 傲慢な態度や振る舞い:他者を見下すか、自己中心的な態度を取る。
- 幻想:無限の成功、力、知性、美しさ、または理想的な愛を持つという幻想を抱く。
これらの基準のうち、5つ以上に該当する場合、自己愛性パーソナリティ障害の診断が考慮されます。ただし、これらの特徴があるからといって必ずしも自己愛性パーソナリティ障害であるとは限りません。正確な診断のためには、専門家の評価が必要です。
モラハラを行う人が持つ可能性のある精神疾患
モラハラ(モラルハラスメント)を行う人が持つ可能性のある精神疾患は、自己愛性パーソナリティ障害だけではありません。モラハラの背後にはさまざまな精神的要因や背景が考えられます。以下は、モラハラを行う人が持つ可能性のある精神疾患の一部です。
境界性パーソナリティ障害(BPD)
境界性パーソナリティ障害(BPD)は、感情の不安定さ、恐怖、自己像の不安定さ、人間関係の問題などの特徴を持ちます。これらの特徴が原因で、他者に対して過度な要求や非難を行うことがあります。感情の不安定さや人間関係の不安定さから、他者に対して攻撃的な言動を取ることがある。このような言動は、モラハラとして受け取られることがあります。また、境界性パーソナリティ障害の人は、自分の感情や欲求を他者に強制することがあるため、これもモラハラとして認識されることがありえます。
反社会的パーソナリティ障害
反社会的パーソナリティ障害は、他者の権利を無視し、社会的な規範や法律を破る傾向がある精神障害です。この障害を持つ人は、他者を利用する行動や無責任な態度を示すことが多く、これがモラハラとして受け取られることがあります。モラハラは、心理的な攻撃や非難、侮辱などの行為を繰り返し行い、相手を精神的に追い詰める行為を指します。
ヒステリー性パーソナリティ障害
ヒステリー性パーソナリティ障害は、注目を浴びることを強く求め、感情的に過度に反応することが多い精神障害です。この障害を持つ人は、人間関係での問題や、他者に対する過度な要求が見られることがあります。これらの行動や態度は、モラハラとして受け取られることがあることも考えられます。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、極度の気分の躁状態と抑うつの症状が交互に現れる精神障害です。躁期には、過度な自信や判断力の低下が見られ、これが原因で他者に対して攻撃的な態度を取ることがあることも考えられます。このような攻撃的な態度や言動は、モラハラとして受け取られることがあります。
うつ病
うつ病は、持続的な憂鬱や興味喪失を主な症状とする精神障害です。うつ病の人は、自己評価が低くなることが多く、自分の価値を感じられなくなることがあります。このような状態が続くと、他者に対して過度な要求や非難を行うことがあることも考えられます。また、自分の感情や状態を適切に伝えることが難しくなるため、間接的な方法で自分の不満や苦しみを表現することがあるかもしれません。これらの行動や態度は、モラハラとして受け取られることがあります。
パラノイア(被害妄想性障害)
パラノイア(被害妄想性障害)は、他者が自分を攻撃しているという過度な疑念や妄想を持つ精神障害です。この障害を持つ人は、周囲の人々の言動を過度に疑ったり、自分に対する敵意や陰謀を感じることがあります。このような疑念や妄想が原因で、他者に対して攻撃的な態度を取ることがあることも考えられます。また、自分を守るためや、自分の考えを他者に強制するために、非難や批判を繰り返すことがあるかもしれません。これらの行動や態度は、モラハラとして受け取られることがあります。
これらの精神疾患のいずれも、モラハラの原因となる可能性がありますが、モラハラを行うすべての人がこれらの疾患を持っているわけではありません。モラハラの背後にある原因や精神疾患の有無を正確に知るためには、専門家の評価が必要です。
妻がモラハラをしたらどう対処すればいいですか?
妻からのモラハラに対処する際は、まず自分や子供の安全を確保することが最優先です。問題を共有し、第三者や専門家を交えて話し合うことが効果的です。
カウンセリングやセラピストの利用で、背後にある問題を探ることが推奨されます。サポートグループに参加して経験者からのアドバイスを受けるとともに、自分のメンタルケアも忘れずに行うことが大切です。