モラハラと言うと暴言や暴力による精神的な苦痛をずっと与え続けることなどが一般的ですが、暴言や暴力を使わずに精神的に相手を追い詰めると言うモラハラも存在します。
例えば、夫婦で生活をしていると、仕事をすること、家事や育児、家計の管理など夫婦で分担をして家庭を守っていく必要があります。役割を分担するとしても、お互いを思いやる気持ちが大切で、例えば掃除の担当は妻だとしても、部屋をできるだけ汚さないように過ごし、しっかりと後片付けをするなどの心遣いは大切なことです。
家庭での家事分担に対し嫌がらせをするモラハラ
家庭の中で、掃除の担当を分けたとして、それでも後片付けをすることや物を散らかしたりしないことなどはごく当たり前のことです。近年増えているモラハラの事例としては、「掃除の担当はあなたなんだから私が散らかしたものも片付けるのが当たり前」言うことを平然と言ってのけるというタイプのモラハラがあります。
役割というルールに都合のよい解釈をする家庭内モラハラ
家庭というある意味逃げられない、誰にも相談できない関係性の中で、役割分担と言う家庭内のルールを都合のよいように解釈し、しっかりと思いやりをもっているパートナーのことを役立たず呼ばわりするという家庭内のモラハラが増えています。近年までどちらかと言うと妻の方が「専業主婦なんだから家事や育児やって当たり前」という態度で夫から接しられる事が多く問題視されてきていました。最近は「イクメン」など、家庭内で育児や家事に積極する男性を取り上げられることが多くなり、女性達もつられて男性に過剰な労働や家庭内での責任を押し付ける傾向が増しています。
家事や育児をしないダメな夫を妻にしたいモラハラ思考
モラハラをする夫妻の性格的な傾向としては、あまり努力はしないけれど他人より自分の方が優れていると認めさせたいと思う傾向があります。夫婦関係の中で、パートナーのことを大切に思えばでも支えて尊重し合うことでお互いの大切さを認め合うということが大切です。しかし、モラハラ的な思考が根底にあるパートナーの場合は自分の能力が低いことや責任感を持ち続けることができないという劣等感を、努力することや反省する方向でなく、相手も同じようにできない人間だと認めさせる方に全力を注いでしまいます。
責任感や自尊心を崩壊させる家庭内モラハラ
ここまでご紹介したように、家庭内で妻または夫にモラハラをしてしまうパートナーは、自分が責任感がないことや能力がないことを潜在的には自覚をしています。しかしなぜモラハラをしてしまうかと言うと、責任感や能力が足りないということを認めたくないと思っているうちに、自分よりも相手がレベルが低い存在なのだと思い込める環境を作っていく方が楽であると気付いてしまったため、もう自分で反省をしたい態度を振り返るという努力ができなくなってしまった状態です。
パートナーがどんなダメ人間でもモラハラ夫・妻はそのまま
家事でも育児でも家庭内での立ち回りでも、上を目指すならいくらでも優秀な人がいますし、下を見れば全然できない人もいるのですが、自分が今置かれている環境の中で、劣っているという現実に耐えられない時に、常識では考えられないようなモラルに反した言動や人間的に到底容認できないような一方的な価値観の押し付け、相手がどんなに優しくしても大切に思っても認めないと言う冷徹な態度など、何が正解なのか相手が分からなくなるような態度を示し続けることで、自分のことを見つめ直すことから本質的に逃げ続けるのです。
そのため、仮にパートナーがやる気がなくなって疲れ果てた果てに何もできなくなってダメ人間になったとしても、モラハラ夫・妻は、自分のことは客観視できないのでさらにダメ人間へと落ちていきます。このようにしてモラハラ妻を持ったとしてもモラハラ夫を持ったとしてもなかなか抜け出すことのできない負の連鎖に陥ってしまうのです。